なぜ日本料理はユネスコ無形文化遺産に登録されたのか?
私達が普段見慣れていることが多い日本料理「和食」がユネスコ無形文化遺産として登録されています。
料理が文化遺産に登録されるとは、どのような背景があるのでしょうか。
1.ユネスコ無形文化遺産とは
まず「ユネスコ無形文化遺産」とは、民族文化財や口承伝統など形がない文化を保護するために登録されるものです。
各国の音楽や儀式なども無形文化遺産として登録されています。
日本では和食以外に、能楽、歌舞伎、和紙など多数登録されています。
日本はこの条約に積極的な姿勢で2004年に条約を締結して、2006年の4月から条約が発効されました。
2.日本料理がユネスコ無形文化遺産に登録された理由
料理が無形文化遺産として登録されているのがフランス、メキシコ、トルコ、地中海です。
ここに和食が登録された理由は何でしょうか。
・和食の保護と継承を期待
和食とは食材の「旬」を大切にして、調理技術にもこだわりを持った日本独特の文化です。
しかし、海外の食文化が取り入れられた事により、食の洋風化や和食離れが深刻になり、それを保護するためにユネスコ無形文化遺産に登録されました。
和食が文化として認められた一方で、後世へ継承していくことを期待して登録されたのです。
・希薄になっていく食文化
日本では季節や年中行事に合わせた料理と調度品を揃えて、食を楽しんできました。
お正月のおせち料理や節分の恵方巻などがそれに当たります。
しかし、そのような行事食を家庭で作るようなところは少なくなり、そもそも行事食を食べることもしない人も増えています。
食の多様性があるのはいいことですが、食文化が薄れていくことに危機感を感じるのが現状です。
3.和食の4つの特徴
和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたのは料理そのものに対してではありません。
日本人の自然を尊ぶという精神からくる食の慣習が登録に値したものです。
・多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重
日本は南北それぞれの地域によって様々な食材があります。
その場所、その季節だからとれる海の幸山の幸です。
その素材を活かすために生まれた調理技術や道具が発達しています。
また、乾物や味噌などの保存食も素材を活かす調理技術に当てはまります。
・健康的な食生活を支える栄養バランス
和食の基本は一汁三菜です。
栄養バランスのとれた食事で健康を形成しているという特徴があります。
また、「うま味」という日本が発祥の概念により、動物性油脂の少ない食生活がおくれることが注目されています。
・自然の美しさや季節の移ろいの表現
和食は季節の移ろいを料理で表現するために、旬の食材を使う、季節の花や葉を飾り付ける、季節にあった調度品を使うなどの工夫を凝らしてきました。
季節を楽しむ日本人の心が和食にはあります。
・正月などの年中行事との密接な関わり
年中行事に出される料理は自然を尊重しているので、自然の中の神様に感謝するという意味も込められています。
お正月や節分大晦日など、今では昔から食べていたからという理由で食べていますが、深くたどれば自然の尊重が根源なのです。
まとめ
和食が栄養面や見た目の美しさで世界からも注目されていることは良いことです。
しかし、その文化が消えかけていることに危機感を感じるべきでもあります。
日本人から和食をもっと大事にしていきましょう。